良い工事業者か見分けたい
工事の相談をするときに、全く知らない工事業者に相談するのは、ハードルが高いですよね
正直、ホームページを見ても良くわかりませんし、ホームページがない業者もたくさんいます
しかし、その工事業者が近所で工事を行っていれば、現場の状況から良い工事業者かを見分けることができるかもしれません
また、ご自身で工事を行う予定がない場合でも、
- 近所で工事が始まっているけど、周囲に危険がないようにちゃんと施工してくれるのか不安
- 苦情を言う前に、工事業者はきちんとしている工事業者なのか確認したい
というかたもいらっしゃるでしょう
そこで、今回の記事では、
というかた向けに、工事現場を見てわかる良い工事業者の見分け方について解説します
なお、工事の苦情の言い方については、以下の記事をご参照ください
良い工事業者を見分けるポイント①:仮囲いの状況
仮設計画は、工事業者の最も特徴がでるポイントです
工事現場内部の仮設状況は確認できない場合が多いですが、外部の仮囲いの状況は確認できます
- 外側から触って危険な場所はないか
- 容易に工事範囲に入ることができないように仮囲いをされているか
をチェックしてみましょう
これはかなり工事業者によって差がでるポイントです
イメージは、こどもが工事現場に近づいた場合、怪我をしないか、を想像してみるとわかりやすいでしょう
良い工事業者を見分けるポイント②:仮囲いの掲示物
工事を行う際には、法的に必要な掲示物と、近隣への配慮として設置している掲示物があります
これらの掲示物がきちんと掲示されているかをチェックしてみましょう
法的に必要な掲示物
まず、法的に必要な掲示物から見ていきましょう。主なものは以下のとおりです
- 建築基準法による確認済表示板
- 開発事業等にかかる掲示(各自治体による)
- 建設業の許可票
- 解体工事業者登録票
- 建築物等の解体等の作業に関するお知らせ
- 石綿(アスベスト)の使用状況に調査結果
- 道路占用許可表示板
建築基準法による確認済表示板
新築の場合には、建築基準法による確認申請を行い、確認済書をもらわなければなりません
そして、建築基準法第89条第6条第1項により、「確認があった旨を表示しなければならない」とされています
なお、サイズは縦25センチメートル以上×横35センチメートル以上とする必要があります
なお、大きな工事であっても、マンションの大規模修繕など確認申請が不要な工事は、表示板も不要になります
開発事業等にかかる掲示(各自治体による)
大規模な新築の場合は、各自治体によって「開発事業」という扱いとなり、開発事業等にかかる掲示が必要となります
この掲示は工事の説明ではなく、計画の説明となりますので、着工前から掲示されています。また、計画に関する問い合わせ先が記載されていますので、計画について意見がある場合は、連絡しましょう
建設業の許可票
工事業者が建設業の許可を受けている場合は、建設業の許可票を掲示する義務があります
建設業許可が必要となるのは、
- 建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
- 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
です。建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事のことで、新築・増築・改築などは建築一式工事となります
掲示のサイズは、縦25センチ以上×横35センチ以上とする必要があります
解体工事業者登録票
解体工事の場合は、工事1件の請負代金の額が500万円未満の場合でも、上記の建設業許可または解体工事業者登録が必要となります
つまり、解体工事の場合は、建設業の許可票もしくは解体工事業者登録票のどちらかの掲示が必須となります
建築物等の解体等の作業に関するお知らせ
建築物等の解体等の作業に関するお知らせは、大気汚染防止法、労働安全衛生法及び石綿障害予防規則に基づいて、解体する建物の石綿(アスベスト)調査結果を知らせるものです
石綿(アスベスト)は、昔の話かと思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、重量の0.1%を超える含有が全面禁止となったのは、平成18年9月1日からです。つまり、現在解体する年代の建物には、石綿(アスベスト)が含有されている可能性があります
石綿(アスベスト)の使用状況の調査結果
石綿(アスベスト)の使用状況の調査結果は、 文字通り、石綿(アスベスト) の使用状況の調査を誰が行い、どこに石綿(アスベスト)が含まれているか、もしくは含まれていないかを示すものです
石綿(アスベスト)が含まれていない場合も掲示が必要となる点がポイントです
道路占用許可表示板
工事の作業場、道路に足場を建てるなど占用する必要がある場合は、道路管理者に許可を受ける「道路占用許可」が必要となります
道路管理者とは、その道路を管理している国、都道府県、市町村等で、道路占用許可の表示が必要かどうかは、道路管理者の判断によりますが、表示を求められる管理者が多いでしょう
なお、作業の過程で工事車両を道路上に駐車する場合など、一時的な利用の場合は、「道路使用許可」となり、警察から許可をもらうことになります
道路使用許可の場合は、掲示は不要な場合が多いでしょう
あると望ましい掲示物
次に、あると望ましい掲示物について見ていきましょう
- 工事内容のわかる看板
- 今週の作業予定
法的に必要な掲示物はあって当然のものですが、上記のあると望ましい掲示物もチェックしておきましょう
これらの掲示物は、きちんと近隣に説明しようという姿勢があるかを判断するポイントとなります
工事看板をみて、どのような建物ができて、現在どの程度工事が進んでいるかをイメージできればOKです
工事内容のわかる看板
「〇〇の工事をしています」という看板のことです。公共工事の場合は、ほぼ確実に設置されています
また、施主の広告として設置されている場合もありますが、いずれにしろ近隣住民はどんな建物ができるか気になるでしょうから、工事内容のわかる看板はあると望ましいでしょう
今週の作業予定
今週の作業予定は、いつ騒音が大きくなるか、車両が通るのか、休日はいつなのかなど、作業のイメージを近隣に伝えるものです
看板があっても、何週間もずっと「躯体工事」とだけ書かれていてはあまり意味がありません
必要だが工事敷地内に掲示する場合もある掲示物
ここまでご紹介したもの以外にも、いっぱい看板がかかっている場合がありますが、それは現場の作業員向けの看板です
現場の作業員向けの看板は、周囲から見える場所に掲示しても、現場事務所の近くなど周囲から見えない場所に掲示しても問題ありませんので、気にする必要はないでしょう
参考までに、現場の作業員向けの看板としては主なものは、以下のとおりです
- 緊急連絡先
- 労災保険関係成立票
- 建設業退職金共済制度適用事業主の現場標識
- 有資格者一覧
- 作業主任者
- 下請人に対する通知
良い工事業者を見分けるポイント③:現場が片付いているか
現場内部がきちんと片付いているかも、非常に重要なポイントです
整理整頓されている現場は、計画的に工事が進められている証拠であり、現場監督と作業員のコミュニケーションや指導が上手にできていることの表れでもあります
- 工事資材は整理整頓され置かれているか
- ゴミと思われるものが散らばっていないか
上記のポイントを、仮囲いの外側から見える範囲で確認します。見れない場合もありますが、見えないようにしているという点で正解です
最後に
工事現場の雰囲気は、工事現場ごとに大きく違います
これは、工事監理者として10以上の現場を経験している筆者も、身をもって感じています
それ以上に、色んな現場をわたり歩いている作業員は、現場に入った瞬間にその現場の管理レベルを感じていることでしょう
なお、設計事務所による工事監理は、仮設については監理対象ではない場合がほとんどです。なので、仮設の状況を見ると、良い工事業者がを見分けやすくなります
ぜひご自身の目で確認していただき、良い工事業者を選んでください
この記事が少しでも参考になれば幸いです
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