アウトポール設計とは
アウトポール設計は、室外側に柱を出した設計のことで、室内を有効に利用できることから人気のある設計手法となっています
しかし、マンションのアウトポール設計は、バルコニー側はアウトポール設計になっているものの、共用廊下側はアウトポール設計になっていないマンションも多くあります
そこで本記事では、アウトポール設計のメリット・デメリットと、共用廊下側がアウトポール設計でない理由について解説します
なお、この記事は外廊下型のマンションの場合の解説となります
外廊下型のマンションの特徴は、以下の記事をご参照ください
アウトポール設計のメリット
まず、アウトポール設計のメリットを改めて確認します
部屋を広く使うことができる
建物の住戸専有面積として表示される広さは、壁の中心線で測定されています
そのため、柱が室内側に出ていないアウトポール設計の場合、柱の面積分、実際に使用できる面積は大きくなります
柱型・梁型が室内に出てこないのですっきり
室内側に柱が出ていため、家具の配置がしやすくなります
柱が室内側に出てくる場合は、柱だけではなく梁も室内側に出てくるため、更に圧迫感があり、クーラーの設置場所も出ている梁の側面になることから、窓際にクーラーの風が当たらないといったデメリットもあります
柱だけじゃなく、梁も室内側に出てくるのか…
バルコニー側はアウトポール設計一択!
上記のメリットからバルコニー側はアウトポール設計のマンションがほとんどです
参考までに、アウトポール設計としなかった場合、どのようなメリットがあるかと言いますと、バルコニーの幅を小さくすることができる、という点が上げられます
マンションのバルコニーは、建築基準法上の「避難上有効なバルコニー」という扱いになっている場合が多く、バルコニー間の界壁の幅は60cm以上必要ですので、アウトポールとしない場合、ぎりぎりまでバルコニーの幅を小さくすることが可能となります
最近のマンションのバルコニーの幅は1.5mや2.0m程度ありますので、バルコニーに1.5~2.0mの広さを求める場合は、バルコニー側をアウトポールとしない設計はおすすめしません
確かに、バルコニー側がアウトポールになっていないマンションは、バルコニーが狭いマンションばかりだね!
共用廊下側がアウトポール設計でない理由とは
共用廊下側は、アウトポール設計となっていないマンションが多くあります
ここでは、共用廊下側がアウトポール設計とならない場合の設計の考え方を解説します
設計者の考え①:間口を狭く設計したい
マンションの基本的なプランの考え方として、設計者は、極力間口を小さく設計したいと考えます
間口を小さくすることで、多くの戸数を確保することができ、それぞれの住戸を日当たり・眺望の良い適切な位置に配置しやすく、構造的にも有利だからです
設計者の考え②:でも窓の有効採光面積が取れない
間口を小さくした場合、問題となってくるのは、窓の面積です
バルコニー側は、柱から柱まで大きな窓を取ることができますが、共用廊下側は、共用廊下に面して玄関ドアやメーターボックス(MB)もあり、さらにバルコニー側と違って足元までの窓(掃き出し窓)とすることはできません
建築基準法では、居室の床面積に対して、窓の面積に係数を掛けたもの(有効採光面積)が決まっていますので、共用廊下側の部屋の窓面積が、床面積に対して不足する状況になりがちです
言われてみると、マンションの共用廊下側は、柱やメーターボックス・扉・窓ばかりで、壁の面積は少ない気がしてきた
設計者の考え③:メーターボックス(MB)を柱の外側に配置
そこで、少しでも窓の面積を増やすために、メーターボックスを柱の外側に移動します
そうすると、メーターボックスで取られていた分、窓を大きくすることが可能となります
なお、メーターボックスを柱の外側に配置すると、2住戸で1つもメーターボックスとすることができ、費用の削減も可能となります
設計者の考え④:結果、アウトポールとならない
メーターボックスを柱の外側に設置した場合、アウトポール設計とすると、玄関前の廊下の幅が、かなり広くなり無駄が多い設計となり、共用廊下を支える構造上も厳しくなります
結果として、アウトポールとしないという結論になります
お金をケチって、アウトポールとしていないんじゃないんだね!
アウトポール設計のデメリット
では、最後にアウトポール設計のデメリットを見ていきましょう
窓が小さくなる可能性
先述しましたとおり、間口を狭くする設計の場合は、メーターボックス部分も窓が取れないため、窓の面積が小さくなっている可能性があります
また、メーターボックスを避けるように、窓が壁の片側に寄ってしまう可能性もあります
柱型は出なくても、メーターボックス(MB)が室内に出てくることも
柱型は出なくても、メーターボックス(MB)が部屋内に飛び出してくる可能性もあります
これは、メーターボックスの奥には、給水管が通っており、給水管は床スラブを貫通しているため、梁を避けて配置する必要があります
梁の下に、壁を設ける設計の場合には、壁より内側に給水管を設置するしかなく、その場合は、柱型は出なくても、メーターボックスの給水管の出っ張りが室内に飛び出す可能性もあります
断熱材の段差が壁にある場合も
近年、マンションの断熱性は各段に向上しています
断熱材は、外壁面に面した壁を中心に施工しますが、断熱の計算上それだけでは不足する場合、折れ曲がった間仕切り壁側も1m程度断熱材を施工する場合もあります
すると、隣の住戸側の壁に断熱材を施工している部分と施工していない部分に段差が8~10㎝程度の段差が生じる場合があります
柱型が出てくることに比べるとわずかですが、完全に室内が成形でない可能性があることを意識しておきましょう
最後に
最後までご覧いただきありがとうございます
今回は、アウトポール設計のメリット・デメリットと、共用廊下側がアウトポール設計でない理由について解説しました
専門的な内容も多かったかと思いますが、今回の記事の内容は覚えていただかなくても問題ありません。なぜならマンションを選ぶ際に見る間取り図には、部屋内に出てくる柱型やその他の出っ張りは、すべて記載されているからです
ただ、本記事がより納得してのマンションを選んでいただける一助になれば幸いです
随時、ご質問は下記のコメント欄で受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください
本日もありがとうございました!
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