梁下に玄関扉を設置するのは良くないと言われる理由
梁下に玄関扉を設置するのは良くないと聞いたことがありますか?
これは、地震の時に躯体が損傷を受け、梁下にある玄関扉が変形し、開かなくなるためだと言われています。
確かに、過去の地震の際には、玄関扉が開かなくなった事例が多く報告されています。
しかし筆者は、玄関扉が梁の下にあっても気にする必要はないと考えています。
そこで、本記事では、玄関扉が梁下にあっても気にしなくて良い理由と、玄関扉の位置よりも大切なポイントについて解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
現場の本音は梁下に玄関扉はない方がよい
まず、現場サイドとしては玄関扉は、梁下にない方がありがたいです。
これは、地震の時のことを考えてではなく、施工誤差に対応しにくいからです。
鉄筋コンクリート造の建物で、現場でコンクリートを打設する場合は、コンクリートを打設する型枠がコンクリートの重みで若干下がります。
マンションの玄関扉は、梁ぎりぎりに設計していることが多いため、梁が施工誤差で下がってしまうと、玄関扉の施工がぎりぎりとなってしまいます。
そのため、玄関扉が梁下に設計されている場合は、少々気を遣います。
しかし、一般の居住者からすると関係のない話です。
玄関扉を梁下からずらして設置しても解決しない
玄関扉を梁下からずらして設置すると、地震時に玄関扉が変形することはないのでしょうか。
決して、そのようなことはありません。
梁下に玄関扉がなかったとしても、玄関扉の枠は、床スラブから上階の床スラブ床にコンクリートや軽量鉄骨で固定されていますので、床スラブが下がってしまうと、同様に玄関扉が変形することになります。
梁や床スラブが下がる量を「たわみ量」と言いますが、たわみ量だけで言うと、スラブ(床)の方がたわみやすいため、考え方によっては、梁下にあるほうが玄関扉は変形しにくいとも言えるでしょう。
地震時に避難できる構造とは
防震対策仕様の玄関扉を採用
近年、玄関扉が変形して、地震時に避難できないといったことがないように、各社防震対策仕様の玄関扉を採用しています。
これは、玄関扉の変形量が大きくても、開閉に支障がないように設計された扉のことです。
これは、地震対策として大きな効果があるでしょう。
窓から避難可能か確認する
玄関扉が変形に対応できたとしても、玄関扉の前に障害物が倒れており、開かないという可能性もあります。
その際には、共用廊下側の窓から避難するのが望ましい選択となります。
まずは、共用廊下側に窓があるマンションを選びます。一般的には、外廊下型のマンションは、共用廊下側に窓がある場合が多いでしょう。
外廊下型のマンションの見分け方は、以下の記事をご参照ください。
次に、面格子は非常時脱出機能付か確認します。
共用廊下側の窓には、ほとんどの場合、防犯面から面格子がついてますが、その面格子が非常時脱出機能付の面格子か確認しておきましょう。
非常時脱出機能付面格子とは、部屋内からは面格子を取り外したり、ずらしたりすることで、避難が可能な面格子のことです。
関西圏では広がっていますが、まだ全国に普及しているわけではないようです。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は、梁下に玄関扉があっても問題ない理由と、地震時に避難できる構造について、解説しました。
梁下に玄関扉を設置するのは望ましくないという意見に対して、この記事をご覧のみなさんは、本記事のような逆の意見もあることを踏まえていただき、納得のいくマンション選びをしていただければ幸いです。
ご質問・ご意見は、下記のコメント欄より随時お待ちしております。
本日もありがとうございました!
コメント