住宅の新築をお考えのかた
これから、住宅の工事をお考えのかたは、まず「良い設計をしてもらいたい」と考えますよね
そのためには、良い設計者を選ぶ必要があります
どんなに素晴らしい施工を行っても、設計がイマイチであれば、良い住宅にはなりません
この記事では、設計者の実力を確認する方法と、設計者に最も求められる能力とは何かについて解説します
この記事は、
・住宅の新築をお考えのかた
・住宅の大規模なリフォームをお考えのかた
に参考になる記事となっています
誰に設計を依頼するか
まず、設計を誰に頼むかを考えてみましょう
設計事務所に設計を依頼する場合
設計事務所に設計を依頼する場合は、設計のみ(または設計及び工事監理)を依頼する形となり、工事は別で発注することになります
「工事監理って何?」というかたは、以下の記事をご参照ください
なお、設計事務所の設計者の中でも「建築家」と呼ばれる人は、より意匠性を重視した設計をする人のことを指します
意匠性に優れた(おしゃれな)設計をしてくれる一方、自宅が建築家のこだわりが反映された「作品」となり、こちらの希望を聞いてくれないという場合もあります
ハウスメーカー・工務店に設計を依頼する場合
ハウスメーカーや工務店に設計を依頼する場合は、設計と施工をまとめて一括発注で依頼することになります
一括発注と分離発注の特徴については、以下の記事をご参照ください
設計者に最初に確認する事項
誰に設計を依頼するかが決まれば、ホームページで設計事務所や工務店、ハウスメーカーを検索します
設計事務所を選ぶ場合は、建築家紹介サイト(マッチングサイト)もありますので、気になった設計事務所をチェックし、実際に相談をしてみましょう
相談する際に、最初に確認する事項は次のとおりです
どの段階で費用が発生するか
まず、どの段階で費用が発生するかを確認しましょう
最初のプラン提示は無料のところも多くありますので、無料であれば気兼ねなくプランを書いてもらいましょう
その後、具体的に設計費用の説明を受けます
おおよそ以下の時期に、支払いが必要となる場合が多いです
- 設計着手時
- 基本設計完了時
- 実施設計完了時
- 工事完了時(工事監理契約を締結する場合)
なお、設計者には、「重要事項説明書」において報酬額、支払いの方法を説明し、書面を渡す義務があります
この説明がきちんとされているかを意識しておきましょう。説明を受ける前に、契約書にハンコを押させようという設計者はやめておきましょう
では契約書に署名・捺印をお願いします
まだ重量事項説明を受けていませんが?
設計者はどの程度やりとりに関わるか
次に、設計者がどの程度、施主とのやりとりに関わるかを確認しましょう
設計者の関わり方は会社によって様々です
設計事務所では、最初に対応してくれた所長は数回合うだけで、後はすべて下の担当者とやりとりをするという場合や、
ハウスメーカーでは、設計者との打ち合わせはほとんどなく、ほとんどが営業担当とプランの相談をする、という場合もあります
そのこと自体に問題はありませんが、あなたが思っていた進め方と違うということにならないように確認しましょう
今後も設計の相談は、〇〇(設計者)さんがしてくださるのですか?
はい。設計と工事監理まで私が担当します
簡単に設計者の実力を確認する方法
では次に、設計者の実力をどのように確認するかについて見ていきましょう
資格は一級建築士が良い?
設計者は、たいていの場合、一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格を持っています
戸建て住宅の設計であれば、一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格でも問題ありません
できることなら一級建築士に設計してほしいと思われるかもしれませんが、近年、一級建築士試験の難易度はとても高くなっていますので、住宅の設計をメインとしている設計者は、特に必要がないので一級建築士試験を受験していない設計者も多くいます
また、一級建築士や二級建築士は、木造に弱い場合もあります。筆者も一級建築士の受験勉強をした際には、ほとんど木造のことは勉強しませんでした。二級建築士も試験の年度によって、木造の製図勉強を行っていない場合もあります
一方、木造建築士は、3階建以上や鉄骨造・コンクリート造の設計はできません。もし、3階建て以上や鉄骨造・コンクリート造の建物を希望される場合は、最初に伝えておくのが良いでしょう
3階建てを希望します
二級建築士の私が担当します
なお、大規模なリフォームや、木造100㎡以下の新築の場合は、建築士資格が不要な場合もありますが、設計者の実力を確認するためにも、同様に 一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格を持っている方が望ましいでしょう
過去の設計を見せてもらう
設計の雰囲気をつかむためには、過去の設計を見せてもらうのが一番わかりやすい方法です
過去の設計を見せてくださいと言えば、写真やパースを見せてくれるでしょう
できればパースより写真が良いです。写真の方が雰囲気がわかりやすいですし、パースしかない場合はその建物が何らかの理由で実現していない可能性もあります
また、オープンハウスが開催されている場合は、ぜひとも行きましょう
自分の目で見てみるのが、最も雰囲気を感じることができます
なお、設計事務所であっても、工務店からの図面作成屋確認申請を請け負ったり、瑕疵保険の検査員をしていたりと、自ら設計をしていない設計事務所は多くあります
過去の設計を見せてもらえない、または数があまりにも少ない場合は、実績がない設計者ですので、そのことを踏まえて、設計をお願いするか検討しましょう
過去の設計を見せていただけますか?
独立したばかりで、まだ実績がありません・・・
質問をしてみる
過去の設計は、設計事務所やハウスメーカー・工務店の会社としての実績を紹介される場合が多く、その設計者本人の実力を確認できるとは限りません
もちろん、その会社として仕事を請け負うわけですので、会社の実力を確認するのは重要です
ただ、大きな会社ですと、設計者によって実力の差があるのも事実です
そのため、設計者本人に色んな質問をして、実力を確認してみましょう
この場合、プランに関わる大きな質問がおすすめです
屋根を勾配屋根ではなく、屋上に出られるようにするとどの程度費用は変わりますか?
- 質問にちゃんと答えてくれたら 〇 (後日に回答でも〇)
- 質問に答えた上で、さらに施主の希望を聞く姿勢があれば ◎
- きちんと設計しないとわからないですね~、とはぐらかす回答は ×
だと考えておきましょう
もちろん、実際には設計してみないとわからないことも多くあるのですが、ある程度の目安を言ってくれないと、施主も検討ができなくなります
実は、設計者は費用に詳しくない場合も多くあります。特に、工事が別発注となる設計事務所の場合は、設計が終わって最後に見積もりをとって、「あれ?思ったより高いぞ」となっていることも多くあります
費用をある程度でも答えてくれる設計者の方が、普段から費用を意識してくれていますので、積極的に質問しましょう
(なお、質問する時は、「設計者をテストしている感」を出さないようにしましょう。印象が悪くなります)
問題:外壁のサイディングの平米単価はおおよそいくらでしょうか?
(クイズ番組か?)
設計者に最も求めらる能力とは?
ここまでご覧いただいて、「で、結局どのように設計者を決めればよいのか?」と思われたかたもいらっしゃるかと思いますが、次の点で判断されてはいかがでしょうか?
筆者は、設計者に最も求められる能力とは、
人(施主)に興味を持つ能力
だと考えています
「建築」に興味を持つ能力じゃなくて?と思わるかもしれませんが、「人(施主)」です
設計は、設計者が行うと思われがちですが、図面を書くのは設計者でも、設計は、施主と設計者の共同作業です
なぜなら、理想とする設計のイメージを持っているのは、施主だからです
つまり、設計者に相談をしてみて、どこまであなた(施主)の生活に興味を持ってくれているかが、良い設計者を見極めるコツです
先ほどの事例ですと、
屋根を勾配屋根ではなく、ルーフバルコニーにするとどの程度費用は変わりますか?
という質問に対して、
この規模でしたら100~150万程度アップします
と答えるだけではなく、
この規模でしたら100~150万程度アップします
どのようなルーフバルコニーの使い方を考えられていますか?
と、使い方を聞き、場合によってはルーフバルコニーではなく、
- バーベキューがしたいのであれば、2階にリビングとつながる大きめのバルコニーを作る
- こどもの水遊びがしたいのであれば、駐車場のスペースをもう1台分広げる
- 洗濯を干したいのであれば、サンルームを作る
といった他の選択肢もあるかもしれません
設計者は、ルーフバルコニーという物ではなく、ルーフバルコニーを使う人(施主)に興味を持ち、施主の使い方に最も適した設計となるように提案をしなければなりません
筆者は、この 「人(施主)に興味を持つ能力」 が 設計者に最も求められる能力 だと考えています
設計者を選ぶ際は、どこまで設計者が「あなた(施主)に興味を持ってくれているか」を設計者を選ぶポイントにしてはいかがでしょうか
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました
今回は設計者に求められる能力について解説してきました
先述しましたが、図面を書くのは設計者でも、設計は、施主と設計者の共同作業です
あなた以上にあなたの家に興味がある人はいません
ぜひ良い設計者と共に、理想の住宅を実現してください
この記事がその一助になれば幸いです。本日もありがとうございました
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