人によって意味が違う?一括発注と分離発注の選び方

リフォーム

一括発注と分離発注とは

自宅の新築やリフォームなどで工事を発注するとき、「一括発注と分離発注はどちらが良いの?」とお悩みの方がいらっしゃいます

この「一括発注」と「分離発注」という言葉は、人によって指している内容が違う場合があります

工事の「工種」の一括発注か分離発注か

「設計」と「施工」の一括発注か分離発注か

つまり、発注方法は以下の4種類あることになります

  • 工事の「工種」の一括発注
  • 工事の「工種」の分離発注
  • 「設計」と「施工」の一括発注
  • 「設計」と「施工」の分離発注

なお、分離発注は分割発注とも言います

この記事では、それぞれのメリット・デメリットを解説し、あなたが選ぶべき発注方法をご説明します

工種の一括発注と分離発注

工種の一括発注とは

まず、工事の「工種」の一括発注とは、工事を一者の業者にお願いすることを言います

この場合、設計は別で行っている、又は設計が必要ない工事が対象になります

工事の「工種」の一括発注の場合、発注先(元請)は建築業者となる場合が多く、建築業者の下請けとして、電気設備・空調設備・衛生設備・内装・防水・・・などの専門業者が入ってきます

なお、空調のことだから、空調設備の業者にお願いした場合、一部内装工事があったとしたら、空調設備の下請けに建築が入ることもあります。ただし、下請けを出したがらない業者などもいるので、建築業者にお願いするのが無難です

工種の一括発注のメリット

工事の責任の所在が明確

工事で不具合があれば、元請の業者に言えば良いので、責任の所在が明確となります

手間がかからない

工事の発注は一度で済みますので、手間もかかりません

工種の一括発注のデメリット

費用が高くなる

元請の業者が業者間の各種調整をしてもらえるため、その分経費(手間賃)がかかります

下請けがいじめられやすくなる

個人で発注している人はあまり気にする必要はありませんが、下請けいじめという言葉もあるように、下請けの立場が弱くなり、工期・金額などいろいろな面でいじめられやすくなります

なので、下請けになる業者は、分離発注が良いと言うことが多いので、意識しておきましょう

(この設備屋さん、やけに分離発注を勧めてくるな~…)

工種の分離発注とは

工事の「工種」の分割発注とは、工事を複数の専門業者にお願いすることを言います

「分離発注」と言われるときに、よく指されるのは、この工事の「工種」の分離発注です

施主は、クロスはクロス屋さん、壁は大工さん、便器は衛生器具屋さん・・・と分けて発注します

工種の分離発注のメリット

費用が安い

業者間の各種調整を施主が行うため、元請業者の経費が下がり、費用が安くなります

好きな業者にお願いできる

お気に入りの業者や、関係のある業者にお願いしたい場合など、自分がお願いしたい業者にお願いすることができます

前回、良い仕事をしていただけたので、ぜひ今回もお願いします

工種の分離発注のデメリット

発注者の手間がかかる

業者の数だけ、発注をしないといけないので、とても手間がかかります

発注する際には、見積もりをそれぞれ数社とることをおすすめしますので、業者数が多くなればかなりの手間になるでしょう

見積もりのとり方については、以下の記事をご参照ください

発注者の段取りが求められる

発注者は、各業者の工事のタイミングや工事内容を調整する必要があります

  • 軽天屋に壁と天井の下地を組んでもらって、
  • 電気屋に配線の仕込みをしてもらって、
  • ボード屋にボードを貼ってもらって、
  • クロス屋にクロスを貼ってもらって、
  • 電気屋に器具を取り付けてもらって、

という順番を把握する必要がある

大がかりな工事になると、一般のかたでこの段取りを行うのは、非常に困難です

責任の所在が不明になりがち

仕上がりが悪かった場合、責任の所在が不明になりがちな点もデメリットのひとつです

例えば、天井ボードの継ぎ目が目立つという場合、ボード屋は下地を作った軽天屋が悪いと言い、軽天屋はボードの貼り方が悪いと言います

また、新築住宅の場合、瑕疵担保履行法による10年保証を受けることができません。せっかく新築を建てるのに、この保証を受けることができないのは非常に損ですので、新築住宅の場合、工種の分離発注はやめておきましょう

設計・工事の一括発注と分離発注

次に、設計と工事の発注方法について、見ていきましょう

設計・工事の一括発注とは

設計・工事の一括発注とは、文字通り、発注者(施主)が設計と施工を一緒に発注することを言います

設計(デザイン)と建設(ビルド)の頭文字をとって、DB(デザインビルド)とも言うこともあります

設計・工事の一括発注のメリット

設計・工事の責任の所在が明確

設計図面どおりに現場が施工できないことは、建設の現場では多々あります

その場合も、設計・工事を一括で発注していれば、責任の所在は明確になりますので、設計のミスか工事のミスか揉めるようなことはありません

工事業者の得意な工法を採用することができる

工事業者によって、得意な工法は違います。設計・施工を一括で発注すると、工事業者の得意な工法を採用した設計ができるため、品質や価格面で有利になる場合があります

大工さんを自前で抱えている業者なら、木工事が増えた方が嬉しいですし、そうでない業者なら、材料費は高くなっても壁を軽量鉄骨で仕上げた方が早いので嬉しい場合もあります

また、ハウスメーカーなどは、自社の規格を持っているため、その規格に合った設計でないと対応できない場合もあります

設計・工事の一括発注のデメリット

費用が高くなる

設計や工事業者間で様々な調整が必要となり、経費が高くなります

また、表には出てきませんが、設計ミスも現場でカバーする必要があるため、工事費に多少の余裕を見る傾向もあります

設計と工事の分離発注とは

設計と施工の分離発注は、発注者(施主)が、設計事務所などに設計を依頼し図面を描いてもらい、その図面をもとに、工事業者に工事をお願いする方法です

設計と工事の分離発注のメリット

設計事務所に第三者としてアドバイスをもらえる

設計と工事を一緒に発注する場合、工事内容が増えれば増えるほど、業者の利益となるため、工事内容が増える傾向にあります

その一方、設計と工事を分離発注すれば、設計者は工事業者に気を使うことなく、適切に工事内容をアドバイスすることができ、結果として過剰な工事をしなくて済みます

工事費用の透明性がある

設計が完了してから工事の発注を行うため、見積もりも取りやすく、工事費用の把握がしやすいため、工事費用の透明性が高くなります

設計と工事の分離発注のデメリット

手間がかかる

工種の分離発注ほどではありませんが、設計・工事それぞれで発注を行う必要があるため、手間がかかります

設計の内容を工事業者に伝えたり、質問に答える必要がある

設計どおりに現場が納まらないといった場合や、現場からの質問があった場合、発注者(施主)がその質問に答える必要があります

専門的なことは、なかなか答えづらいと思いますので、その場合は設計者と工事監理契約を結ぶのがおすすめです

おすすめの発注方法

それでは最後におすすめの発注方法をご紹介します

新築の場合

新築の場合は、設計・施工一括発注がおすすめ

新築の場合は、設計・施工一括発注がおすすめです

新築は自由度が非常に高く、工事業者の得意な工法を採用することで、品質や価格面で有利になります

また、新築はリフォームと違って、不確定要素が少ないため、早めの段階で金額が把握しやすいことも設計・施工一括発注が適している理由のひとつです

大規模なリフォームの場合

大規模なリフォームの場合は、設計・施工分離発注、工種は一括発注がおすすめ

間取りを大きく変える場合や、構造体に手を加える大規模なもの、自宅の一部でカフェを開くといった用途が変わる場合など、大規模なリフォームの場合は、設計・施工分離発注で、工種は一括発注がおすすめです

リフォームはどこまでリフォームするかの判断が難しく、様々な法規制を確認しながら、きちんとした設計をする必要があります

そのため、設計をまず固めてから工事に取り掛かるのがおすすめです

また、発注者(施主)の手間を減らし、責任の所在を明確にしておきたいため、工事の工種は、一括発注をおすすめします

簡単なリフォームの場合

簡単なリフォームの場合は、設計・施工一括発注がおすすめ

設計がほぼいらないような簡単なリフォームの場合は、設計・施工一括発注をおすすめします

クロス・フローリングなどの表面材や設備機器の取り換えなど、簡単なリフォームの場合は、工事業者が見積もりと同時に簡単な設計もしてくれますので、自動的に設計・施工一括発注になります

ここで、発注者(施主)に余裕があれば、工事の工種の分離発注としても良いでしょう

最後に

最後までご覧いただき、ありがとうございました

設計や工事の発注については、思ったより多くの発注方法があると驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか

発注方法を決めるのは、施主のあなたです。

この記事が、みなさんが納得できる新築・リフォーム発注の参考になれば幸いです

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